Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひとあしおさきに

一足お先に

夢野 久作

Lisez 一足お先に (ひとあしおさきに) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 40 200 caractères · 79 écrans

Aozora Bunko

と濁った声で呼びながら、私の胸の上に手をかけて、揺すぶり起す者がある。ハッと気が付いて眼を見開くと、痛いほど眩しい白昼の光線が流れ込んだので、私は又シッカリと眼を閉じてしまった。

「モシモシ。新東さん新東さん。どうかなすったんですか。もうじき廻診ですよ」

という男の胴間声が、急に耳元に近づいて来た。

私は今一度、思い切って眼を見開いた。シビレの切れかかったボンノクボを枕に凭せかけたまま、ウソウソと四周を見まわした。

たしかに真昼間である。奎洋堂病院の二等室である。タッタ今、夢の中………どうしても夢としか思えない……で見た深夜の光景はアトカタも無い。今しがた私の右脚が出て行った廊下の、モウ一つ向うの窓の外には、和ごやかな太陽の光りが満ち満ちて、エニシダの黄色い花と、深緑の糸の乱れが、窓硝子一パイになって透きとおっている。その向うの、ダリヤの花壇越しに見える特等病室の窓に、昨日までは見かけなかった白麻の、素晴らしいドローンウォークのカーテンが垂れかかっているのは、誰か身分のある人でも入院したのであろうか……。

ふり返ってみると右手の壁に、煤けた入院規則の印刷物が貼り付けてある。