Classiques japonais avec furigana
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さんあくにんものがたり
三悪人物語
山本 周五郎
Lisez 三悪人物語 (さんあくにんものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 990 caractères · 58 écrans
娘は西浜のほうへかけだしていった、「間に合うかしら、間に合うかしら」と呟やきながら、こんどこそ狂人そのままの勢いで、――三人の悪漢は「へえお疲れさま」と、番所へ声をかけながら右へ曲がる、権頭が胴震いをして水洟をひっこする。湯屋町を少しいったとき、左側の家で女と子供の悲しげに泣く声がした。立ちどまるとそれを圧して威猛高にわめくのが聞こえる。三人は思わず首を縮めた。なぜなら奉行所の役人の声だから、――それはこうわめいている。
「米は一人につき一日一合という御禁令だ、ええか。五人家族なら五合だろう、さすれば一回量は一合六勺六分六厘六毛となる、ええか、しかるにこの釜の中らをみろ、この中らには三合以上あるぞ」
「なんとも申しわけございません」
女房の哀訴する声だ、
「やどは大浜へ荷揚げに出ますし、十五に十三の食べ盛りを抱えて、一日五合では生きてゆくこともできませんので、ない中から物を売っては」
「黙れこやつ、きさま下民の分際で御政治を誹謗するか」
役人は絶叫する、
「法というものは至上尊厳、いやしくも犯すべからざるものだ、第一、ええか、法はもとお上の御都合によって定るもので、なにも貴様ら下民どものためにあるんじゃない、貴様らはただ守ればよい、一日一合、法がそう命じたら一日一合、それで生きられるかどうかなんてことは、まったく