Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おかのうえ
丘の上
豊島 与志雄
Lisez 丘の上 (おかのうえ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 034 caractères · 23 écrans
すっかり色艶を失った顔全体に、何だか蜘蛛の糸ででも出来てるような、あるかなきかの半透明な膜が被さっていた。額に手をやると、骨のしんまで伝わってくる底知れぬ冷さだった。
けれども、顔に白布を被せて、少し遠退いて眺めていると、やはり、死体は今にもほーっと息をしかかってるかのように見えた。母親もじっとその方を眺めていた。
そして長い時間がたっていった。何かをしきりに考えているようなまた何にも考えていないような、忘我の気持に落ちこんでいった。それからふと気がつくと、いつのまにか、東の窓掛の隙間から、赤々とした光がさしていた。見るまにそれが輝かしい光線となって、室の中を横ざまに流れた。
嘗て見たこともない赤い晴々とした光線だった。それが、陰気にむすぼれ淀んだ病室内の空間に、くっきりと浮出して、東の窓掛の隙間から西の壁の面へ、横ざまに流れていた。その下の暗がりに、死体は静に横たわっていた。もう息をしそうにもなく、固くこわばってしまっていた。
全く死んでしまったのだった。死んで消えてしまったのだった。其処に横たわってるのは、もう彼ではなく、ただ骨と肉との冷たい物質だった。