Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちちをさす

乳を刺す

邦枝 完二

Lisez 乳を刺す (ちちをさす) de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 474 caractères · 35 écrans

Aozora Bunko

星灯ろう

陰暦七月、盛りの夏が過ぎた江戸の町に、初秋の風と共に盂蘭盆が訪れると、人々の胸には言い合わせたように、亡き人懐かしいほのかな思いと共に、三界万霊などという言葉が浮いてくる。

今宵は江戸名物の、青山百人町の星灯ろう御上覧のため、将軍家が御寵愛のお光の方共々お成りとあって、界隈はいつもの静けさにも似ず、人々の往き来ににぎわっていた。

「なアお牧、お春や常吉は、まさか道草を食ってるわけじゃあるまいね、大層遅いじゃないか」

「そんなことはござんせんよ。お組頭のお屋敷は、ここから五丁とは、離れちゃいないんですもの。きっと将軍のお成りが、遅れているんでしょうよ」

梅窓院の近くにある薬種問屋伊吹屋源兵衛の家では、大奥に奉公に上がっている娘の由利が、今夜は特に宿退りを頂けるとあって、半年振りに見る顔が待ち遠しく、先ほど妹娘のお春に、手代の常吉をつけて、途中まで迎えに出したのであったが、奥の座敷に接待の用意が出来ると、源兵衛はしびれを切らした挙句、すでにとっぷり日の暮れた門口へと、首から先に出向いたのだった。

ふと気がつけば、いつの間にやら女房のお牧も、源兵衛の背後に寄り添って、百人町の方角へと首を伸ばしていた。