Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

Lisez 二つの庭 (ふたつのにわ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 492 caractères · 389 écrans

Aozora Bunko

外出さきから多計代を家まで送りとどけて、又その車は事務所へ戻った。自動車は珍しがられて、その一台が毎日多計代によっても使われていた。きょうは、今ごろの時間に、江田がのんびり車体の手入れをしている。江田にとっても、たまにはほしいのどかな午後の気分であろう。

ひとりぼっち、客間の庭に不様にされて忘られかけている石燈籠を眺めていると、この家の生活感情の推移が伸子の心にしみた。江田は律気な運転手の、古風な見栄のようなものをもっていた。あるとき長男の和一郎のことを、江田が若様といって伸子に話した。伸子は、自分の耳を信じかねた。この家に若様と呼ばれるようなものがいたのだろうか。伸子は、悲しそうに、江田さん、どうか和一郎さんと呼んでやって頂戴、あんまりみっともないからね、といった。そして、多計代にそのことを注意した。

「おや……そうだったかしら……」

多計代はいくらかばつのわるい顔つきになって、まつ毛の美しい眼をしばたたいた。しかしそれぎりであった。江田のその呼びかたは続けられている。伸子はそれを知っている。

その半面、生活の営みには、自動的なような刻薄なようなものが流れはじめていた。