Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふたつのみち
二つの途
豊島 与志雄
Lisez 二つの途 (ふたつのみち) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 102 caractères · 104 écrans
ああいうことをすべきであったか否かを、彼は自ら尋ねた。そして躊躇なく否と自ら答えた。自分の死後を自ら規定する権利、それは誰にもないのであると、彼は考えた。彼は激しい自責の念に襲われた。そして、その自責の念を掘り下げることによって、彼は益々深い所へ落付いていった。もし彼が何故にああいう提議をしたかと自ら尋ねたならば、彼は更に深い動乱に陥ったであろう。茲に在っては、彼の意識がその「何故に?」を逸したことは、却って彼に幸した。然し彼は自分の自問自答に、何か不足なものがあるのを覚えた。しきりに深い落付きを求めている彼は、なお考えを止めなかった。そして幾度も同じ問いと答えとをくり返した。
眼を転じて室の中を見廻すと、まだ信子と高子とが起きていた。
「もういいから、寝んで下さい。」と彼は云った。「起きていられると何だか眠れない。」
然し二人は寝ようとしなかった。彼はまた同じ言葉をくり返した。
「では寝みましょうか。」と高子は云った。
信子は黙って首肯いた。
高子は、病人の湿布と氷とをすっかり取代えた。そして床にはいった。信子も床をのべた。
啓介は眠ったがように眼を閉じてしまった。