Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふたつのみち

二つの途

豊島 与志雄

Lisez 二つの途 (ふたつのみち) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 102 caractères · 104 écrans

Aozora Bunko

皆眠ってるんだ。」

「二人に聞かれるのが恐ろしいのか。」

「木下、君はどうしてそう悪魔のような物の云い方をするのか?」

「そして君は、神のような物の云い方をしてるというんだろう!」

二人は黙り込んだ。互の間に越え難い溝渠があるのを、二人共感じた。……啓介の性格は、より強くてまたより退守的であった。木下の性格は、より弱くてまたより突進的であった。而も、強くて退守的な啓介の心は、深い宗教的な雰囲気に包まれていた。弱くて突進的な木下の心は、苛ら立った現実的な雰囲気に包まれていた。二人はいつのまにか、遠い距離を距てて立っていた。

「木下、」と啓介は云った、「僕はもう何にも云うまい。ただ自分を恥しいと思う。……信子の心に自由な途を歩かしてやろうじゃないか。」

「そして君は、ただ待ってるというのか。」

「それより外に仕方がない。」

「それが最も安全な勝利の方法だろうさ。」

「何が?」

「そうさ、僕と信子さんとの間は唇と唇との交渉にすぎない。然し君と信子さんとの間はもっと深い交渉だからね。」

「何だと!」啓介は思わず叫んだ。

「君は夢想家さ。そして最も実際家だ。」

「木下、君の心は何処まで汚れてゆくんだ! 何処まで僕をふみ蹂ろうとするんだ!」