Classiques japonais avec furigana
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しつらくえんさつじんじけん
二十世紀鉄仮面
小栗 虫太郎
Lisez 二十世紀鉄仮面 (しつらくえんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 489 caractères · 77 écrans
まず柳江の書斎にある柱時計の長針と短針とに、安全剃刀の刃を一定の位置に貼り付けて置いたのだ。それから、時計の右手にある釘に糸を結び付けて、それを斜めに数字盤の円芯の上から、八時三十分以後に刃の合する点を通して、末端を自分の室から携えて行った携帯蓄音機の回転軸に縛り付けたのだ。蓄音機は前以って、扇形に張ってある蜘蛛糸の下へ、適宜な位置で据えてあったのだが、それにも細工がある。君は確か、速度を最緩にして、恰度二廻りで止まる程度に弾条をかけて置いたろう。それから、送音管を外して、それを倒さまに中央の回転軸に縛り付ける。すると、発音器が俯向くから恰度卍の一本と同じ形になるのだが、それが済むと、愈停止器を動かして回転を始めさせたのだ。勿論それだけでは、糸が盤の回転を許さないのだが、そのうち八時三十分を少し過ぎると、両針に付けられた剃刀の刃が合うから、糸がプツリと切断される。そうして、回転が始まると、発音器の針受が上の蜘蛛糸を弾いて、あの時計に似た沈んだ音響を立てたのだよ。つまり、最初の回転で八つ、二回目で一つ――それが三十分の報時に当ると云う訳だが、その二回で弾条の命脈が尽きてしまったのだ」