Classiques japonais avec furigana
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ロボットさつがいじけん
人造人間殺害事件
海野 十三
Lisez 人造人間殺害事件 (ロボットさつがいじけん) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 836 caractères · 18 écrans
十秒十五秒――。向い合った自動車の窓がスルリと開く。
「呀ッ」
叫んだのは劉夫人である。夫人は僕からとびのいて背後に隠れようとした。――その窓から現われ出た奇怪な顔。眼も唇も、額も頬もすべて真黒な顔。黒人か、さにあらず、構成派の彫像のような顔の持主は、人間ではなくて、霊魂のない怪物のような感じがした。そのとき夫人の右手が、のびると見る間に、硝子窓越しに、短銃が怪物に向ってうち放された。怪物は真正面から射撃されて、その顔面を粉砕されたと思いきや、平気な顔をつき出して、
「三十番街を左に曲れ」
と流暢な中国語を発し、驚く僕たちを尻眼にかけて、背後の方へ下って行った。
夫人は、短銃を壊れた窓に、なおも覘いをつけつづけていた。
「なんでしょう、あの怪物は?」夫人が蒼白な顔をあげて、キッと僕の方を睨んだ。
「多分、人造人間かも知れませんね」
「人造人間! 人造人間って、ほんとにあるのですか」
「ありますとも。このごろ噂が出ないのは各国で秘密に建造を研究しているからです」
「いまのは、どこの人造人間でしょう」
「さあ、どこでしょうか、もしかすると……」
「もしかすると……」
「運転手、三十番街を左に曲れ。