Classiques japonais avec furigana
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にんげんレコード
人間レコード
夢野 久作
Lisez 人間レコード (にんげんレコード) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 936 caractères · 20 écrans
「今のも録音機のフイルムに感じたろうか」
「感じてます。器械を列車の蓄電池と繋ぎ合わせて開け放していますから……まだ五十分ぐらいはフイルムが持ちますよ。今の貴方の声だって這入ってますよ」
「フフフ……」
二人は又、沈黙に陥った。青年ボーイは所在なさに紙巻を啣えて火を点けた。
少年ボーイが闇の中で手を出した。
「僕にも一本下さいな」
「馬鹿。フイルムに感じちゃうぞ」
「構いませんから下さい」
「手前。持ってるじゃないか」
「バットなら持ってます。貴方のは露西亜巻でしょう」
「よく知ってるな。ハハア。匂いでわかったナ」
「イイエ。見てたんです。さっき注射なすった時にあの爺のパジャマのポケットから……」
「シッ。フフフ……」
突然列車が烈しくガタガタと揺れた。小郡駅構内の上り線ポイントを通過したのだ。車室の中が又真暗くシインとなってしまった。
すると突然に列車の動揺にユスリ出されたような奇妙な声が、寝台の中から起って来た。それはカスレた金属性の、低い、老人の声で、しかもハッキリした日本語であった。夢のようにユックリと落付いた口調であった。
「日本の………、……、……、……、…………………諸君よ……諸君、民衆の民族的……のために……せよ……諸君……日本の…………が……土地……に目ざめ、成長する事を……のである」