Classiques japonais avec furigana
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あだうちさんたい
仇討三態
菊池 寛
Lisez 仇討三態 (あだうちさんたい) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 136 caractères · 33 écrans
「そうは思ったが、あまりに不憫でな。しかもまだ縁付いてきてから一年にもならない若い内儀じゃ。ことに、深い宿意があって打ち果したという敵じゃなし、女房の命まで取るのは無益だと思ったから、斬りかかる懐剣の下を潜って、相手の利腕を捕えた。はははは、その時には、女と思って油断をしたために、つい薄手を負ったのが、この二の腕の傷じゃ」
彼は、自分の腕をまくって、二の腕の傷を見せた。それは、彼が丸亀を退散して、京の四条の茶屋の板前を勤めていたとき、血気の朋輩と喧嘩をして、お手の物の包丁で斬りつけられた傷である。彼は、それを時にとっての証拠として、自分の話に動かせない真実性を加えたのであった。彼は、自分の当意即妙に、自分で感心した。
「どれ! どれ!」一座のものは、杯盤の間を渡って来て、彼の傷に見入った。もう、誰一人として、彼の話を疑っているものはなかった。
「それで、その内儀はどうなすった!」
皆は話の結末をききたがった。
「持っていた懐剣を放させて、そこへ突き放したまま悠々と出てきたが、さすがに、後を追うて来るものはなかった。その足で、すぐ退転いたしたが、もう二十年に近い昔じゃ。