Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あだうちきんしれい
仇討禁止令
菊池 寛
Lisez 仇討禁止令 (あだうちきんしれい) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 238 caractères · 35 écrans
三
しかし、天野新一郎の心事は、口でいうほど思い切ったものではなかった。尊王の志は、人並以上に旺んではあったが、しかし彼は、成田一家とは、元来遠縁の間であったし、かなり深い親しみを持っていた。
頑固一徹な成田頼母も、平生は風変りな面白い老人で、沖釣りが何よりの道楽で、新一郎も二、三度は誘われて、伴をしたことがある。
長男の万之助は、今年十七で、これは文武両道とも、新一郎に兄事していて、
「お兄さん! お兄さん!」と、慕っている。
その姉の八重が、一つ違いの十八で、新一郎との間に結納が取り交わされるばかりになっているのであるが、世間が騒しいので、そのまま延々になっているのだ。
だから、成田邸の勝手は、自分の家同様に心得ている。
成田邸への襲撃は、その夜の正子の刻と決った。
先手は、吉川、幸田に新一郎を加えて三人、二番手は小泉、山田に、久保三之丞の三人。
新一郎は、同志の手前、平気を装っていたが、さすがに心は暗く、足は重かった。
小泉が、
「無用の殺人は絶対に慎むよう。家来たちが邪魔をすれば、止むなく斬ってもよいが、頼母殿さえ倒せば、後はどんどん引き上げる。