Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぶっきょうじんせいとくほん

仏教人生読本

岡本 かの子

Lisez 仏教人生読本 (ぶっきょうじんせいとくほん) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 124 886 caractères · 246 écrans

Aozora Bunko

しかも、それまでに輸入された宗派は、三論宗などというまだ本当に成熟した大乗仏教ではありません。

成熟した大乗仏教は、ちょうど、この四十年間ほどの間に、支那大陸で、天台大師がしきりに研鑽講述しつつあったときで、日本にはまだあからさまに、その影響はなかったときであります。そういう未開の仏教時代の日本で、単的明確に大乗仏教の真義を把握された太子さまは、天才と申上げていいか、直覚力の鋭いお方と申上げていいか、ただただ驚嘆の外はありません。

太子さまは、万機を摂政せらるるお忙しき中に、経を講ぜられ、また、その註釈を作られましたが、その経は、法華経、勝鬘経、維摩経の三つでありまして、大乗経典中の最も大乗的のものであります。

大乗というのは何かと申しますと、一口に言いますれば、治生産業ことごとく仏法にあらざるなしという大見解に立つ主張でありまして、消極的に隠遁して、独り清く澄し込む小乗仏教とは反対であります。そして法華経はその哲理と実行の勧めを説いた経巻であり、維摩経は維摩居士という俗間の老練な一男性をして、その大乗主義の体験を物語らしめたもの、また勝鬘経は勝鬘夫人という若い美しい女性をしてその教義を述べさしたもの、いずれも、経の目的は現実生活の理想化にあります。