Classiques japonais avec furigana
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いせのまき
伊勢之巻
泉 鏡花
Lisez 伊勢之巻 (いせのまき) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 617 caractères · 35 écrans
こうして私と将棊をさすより、余所の奥さんと不義をするのが望なの?」
衝と手を伸して、立花が握りしめた左の拳を解くがごとくに手を添えつつ、
「もしもの事がありますと、あの方もお可哀そうに、もう活きてはおられません。あなたを慕って下さるなら、私も御恩がある。そういうあなたが御料簡なら、私が身を棄ててあげましょう。一所になってあげましょうから、他の方に心得違をしてはなりません。」と強くいうのが優しくなって、果は涙になるばかり、念被観音力観音の柳の露より身にしみじみと、里見は取られた手が震えた。
後にも前にも左右にもすくすくと人の影。
「あッ。」とばかり戦いて、取去ろうとすると、自若として、
「今では誰が見ても可いんです、お心が直りましたら、さあ、将棊をはじめましょう。」
静に放すと、取られていた手がげっそり痩せて、着た服が広くなって、胸もぶわぶわと皺が見えるに、屹と目をる肩に垂れて、渦いて、不思議や、己が身は白髪になった、時に燦然として身の内の宝玉は、四辺を照して、星のごとく輝いたのである。
驚いて白髪を握ると、耳が暖く、襖が明いて、里見夫人、莞爾して覗込んで、