Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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なにをさくひんにもとむべきか

何を作品に求むべきか

小川 未明

Lisez 何を作品に求むべきか (なにをさくひんにもとむべきか) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 518 caractères · 4 écrans

Aozora Bunko

どんな、複雑した、また、波瀾に富んだ事件であろうと、それについて真に深刻なる人生味を感ずる者は、実に、この経験者自身を措いて、他には決してないであろう。

所詮、芸術は、いかに如実に、現実を再現しようとしても、たゞ、事件それのみを語ることを目的としたり、畢竟、直接の経験した者の実感以上には、出ることができないのである。

芸術が、経験を通じて、何ものかを語らんとしていることは、事実である。

こゝに、享楽派の芸術家があるとする。彼等は、幾多の女と関係したことを書く。淫蕩な事実を描く、肉欲を書き、人間の醜い部分と、そして、自分達、即ちブルジョア階級がいかにして快楽を求めつゝあるかを告白する。しかし、余程の低劣な作家にあらざる限り、これ等の事実を提供して、読者に媚びようとする者は恐らくあるまい。社会の一般は、常に、享楽を要求しつゝあるからという理由で、それと妥協せんとする者はあるまい。そして、ブルジョア作家は、なおこれ等の事実から、いかに、人生というものの物憂いか、また、はかないものであるかを、また人間の醜いものであるかを語ろうと欲するのである。言い換えれば、やはりこれ等の華かな事実を通じて、人生の暗黒な真相を考えようとしているのである。