Classiques japonais avec furigana
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しゅんかん
俊寛
菊池 寛
Lisez 俊寛 (しゅんかん) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 455 caractères · 35 écrans
それから、京極の宿所の釣殿や、鹿ヶ谷の山荘の泉石のたたずまいなどが、髣髴として思い出される。都会生活に対するあこがれが心を爛らせる。たくさん使っていた下僕の一人でもが、今侍いていてくれればなどと思う。
俊寛が、こうした回想に耽っているとき、寝入っていたと思った成経が急に立ち上った。彼は、悲鳴とも歓声ともつかない声を出したかと思うと、砂丘を海の方へ一散に駆け降りた。
彼は、波打際に立つと、躍るように両手を打ち振った。
「判官どの。白帆にて候ぞ。白帆にて候ぞ」
そういって、康頼に知らせると、また悲鳴のような声をあげながら、浜辺を北へ北へと走った。
康頼も、あわただしい声にすぐ起き上った。俊寛も、白帆だときくと、すぐ立ち上らずにはいられなかったが、白帆が見えるといって成経が浜辺を走ったことは、これまでに二、三度あった。彼はよく白雲の影を白帆と間違えたり、波間に浮ぶ白鳥から、白帆の幻影を見た。
康頼は、さすがにすぐ後に続いて走ったが、俊寛はまたかと思いながら、無言のまま、跡からついて行った。成経と康頼とは砂浜を根よく走りつづけた。俊寛も、彼らの熱心な走り方を見ると、自分の足並みが、いつの間にか、急ぎ足になるのをどうともすることができなかった。