Classiques japonais avec furigana
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しなののやまめのみりょく
信濃の山女魚の魅力
葉山 嘉樹
Lisez 信濃の山女魚の魅力 (しなののやまめのみりょく) de 葉山 嘉樹 (はやまよしき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 397 caractères · 5 écrans
と云う、信条でも持っているのか。どう考えても、奴の態度は泰然としている。チョロチョロ泳ぎまわっていない丹田に力をこめて、じっとしている。
「この野郎、人を馬鹿にしやがって手でふんづかまえてやろうか」
と思って、私は四辺を見まわした。
勿論誰も見てなんかいない。
竿の元の方で突いてやろうか、とも、私は考えた。が、そもそも、そう云うことを考えるのがいけないのだ。身勝手過ぎるのだ。もともと、魚釣りと云うものは、詐欺なのだ。
だから、山女魚の方で、その詐欺に引っかからないからと云って、人間の方で憤るのは筋が間違っているのだ。憤りはしないが、少くとも面白くない。
「じゃあ、さようなら、又明日会おうぜ」私は大きな声で、水中の山女魚に挨拶をして、下流に向った。
が、それからと云うものは、私は疑念に悩まされ続けた。
「キジ蚯蚓が水に流れて行く。が、奴のように、一度や二度では食わないと云うことになると、俺がただ、餌を流して行ったって、どいつもこいつも、餌を見送って、それにつづいて現われる俺の姿を見て、『蚯蚓の後からはきっと人間がついて来る』と云う真理を発見するだろう。そうすると、俺は、山女魚に詐欺の本質を、身を以て教育することになる。