Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

にせけいじ

偽刑事

川田 功

Lisez 偽刑事 (にせけいじ) de 川田 功 (かわだいさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 368 caractères · 15 écrans

Aozora Bunko

彼も此埃と共に消えたかった。否、何もかもない。彼女が巡査に云い告げて居る間に、滅茶苦茶に逃げるより外に無いと思った。彼は反対の方向へ顔を向けた。体が泳ぎ出し始めた。と、「逃げたら猶悪い」と、心の奥に何かが力ある命令を発して彼を留まらせた。動悸が早鐘の様に打って頭の上まで響いて行った。

「あのもし」

彼女が再びこう云うのを聞いた。「ああ既ういけない。迚も堪らない」彼の心は泣き叫んだ。躯を藻掻く様に振動させた。

巡査は刻々近寄って来る。六尺、五尺、四尺、ああ遂に立留った。女は媚笑を見せて巡査に雲崩れ掛りそうな姿勢をしながら云い出すのであった。

「一寸お願い致します。此処に居る偽刑事の人が、私を附け廻して仕方がありませんの……」

巡査は鋭い眼を二人に投げた。彼は其眼の光よりも女の云い方の恐ろしさに呆然とした。全くどうして好いのか判らなくなった。彼の眼の先へ恐ろしい獄舎の建物さえ浮んだ。

女は巡査の答など待たないでどしどし饒舌り始めた。

「私、今彼処の店へ参りまして、少し許り買物を致しましたんですの。そして此処迄出て参りますと、此人が追蒐けて来て、私が不都合な事をしたって取調べようとするんですの。