Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きずあとのはいけい

傷痕の背景

豊島 与志雄

Lisez 傷痕の背景 (きずあとのはいけい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 022 caractères · 38 écrans

Aozora Bunko

重い鉄棒に向って、俺の力で、という気持から、誰も皆、責任感が強い。重量の下に、死んでも、膝を屈げる者や、肩から投げ出す者は、いない。ただ、不注意だけだ。うかと、物にぶっつけて、その反動で肩の肉を破る者は、時々ある。人間には、機械的な注意は……。

そんな風に、まだ続くのを、小林は読み終って、首肯いて、出て行こうとした。

「まあいいじゃないか。」

「隙なんですか。」

「うむ……。あの、例の先生たちは?」

「いませんよ。」

「また、君から金をまき上げて、酒を飲みに行ったんだろう。」

「…………」

小林は黙って、薄ら笑いをしていた。

「まだ君は、ああいう連中と別れられないのか。」

杉本の鋭い視線を、小林は意外に感じたらしく、暫くその眼付を窺ってから、云った。

「別れられるとか、別れられないとか、そういうんじゃありませんよ。同県人で、ああして一緒にいる……。だから、一緒にいるだけです。金のことなんか、向うにない時、僕にあることが多いんで、それで、持っていくんでしょう。あの連中は、酒が飲みたいんです。僕は飲みたくない。だから……。それに、これは僕の修養です。隣人愛というものが、どこまで持ちこたえられるものか、神というものが、窮極まで信じられるものか、どうか、そんなことが、やはり問題になっているから……。