Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きずあとのはいけい

傷痕の背景

豊島 与志雄

Lisez 傷痕の背景 (きずあとのはいけい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 022 caractères · 38 écrans

Aozora Bunko

……この人は俺に、学費を与えることによって、奴隷根性を押付けるつもりではなかった筈だ……。

生活の距りが大きくて、話の接穂がないだけに、杉本は、そんなことを考えるのである。田代さんに、自慢話をするだけの老いこんだ自惚か、杉本に、気焔をあげるだけの軽薄な自信か、それが少しでもあったならば、その場は救われるのであろうが、生憎……。

だが、床柱を背に、後輩の代議士や実業家に囲まれてる田代さんも、やはり、杉本を晩酌の相手にしてる時と同じように、話頭の及ばない高みにあって、にこにこしながら、うまそうに酒を飲んでるのである……。

旋風の中の、そこだけ静かな、中心点……。この人は今に何かやるな……とそう杉本も思うのである。――

杉本は顔を挙げた。田代芳輔が通りかかっていた。杉本は立上った。

「やあ……。」眼にちらと、微笑の閃めきがよぎった。「ゆっくりしていってくれ給え。」

それだけで、彼はもう次の人へ眼を向けていた。

杉本はその後姿を見送った。最初の挨拶の時は兎も角、こんどは何か……。と思っていたのが、「ゆっくり議論を闘わしてみたい、」どころか、まるで違っていた。