Classiques japonais avec furigana
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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
Lisez 光り合ういのち (ひかりあういのち) de 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 439 caractères · 263 écrans
私は二年の時一年間図画を習ったきりだ。それだのに私には実に美しい――聖らかなといってもいい程の印象を残している。この先生は絶対に叱らず、怒らなかった。生徒たちは「観音さん」という仇名をつけていた。その容貌も支那の禅僧のような沈んだ深みのあるものであった。少しも叱らないのに生徒たちは尊敬していた。私はどうしたものか図画だけはまったく苦手で、ものにならない拙い画をかき、図画の時間が来るのが苦にもなったものだ。しかし村上先生の受持ちになってからは私は図画に急に興味を感じて来た。先生は図画の採点が実に辛くこれまで甲を貰ったものも丙位しか貰えず、私の最初の図画は庚という驚くべき採点であった。
しかし先生の図画の教授法は実に自由で、私は非常に牽きつけられた。これまで軽蔑して顧みなかった図画を私は熱心に学びだした。そして私は段々と上達して甲が貰えるようになった。毎日帰ると図画をかいた。私は教室で先生がまわって歩いて私の側に立たれると、薫風のようなものが側に来たような気がした。私は先生に殆んど口をきいたことはなかった。たまに私のデッサンを直したりして、何か口をきかれると胸が躍って、のぼせるような気がした。