Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
Lisez 光り合ういのち (ひかりあういのち) de 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 439 caractères · 263 écrans
私の母は牛のような、本能的な母親だった。無学であったし、新しいものに応変して行くことが出来なかったが、家の習慣をよく守り、勤勉で自分の享楽を思わず、しきたりというものに保護されて、過ちなく日を送っていた。よい風習というものには保護作用があるのだ。
私が十一の時だった。
「お母さん、山王さんまで遠足に行くから弁当をこさえて下さい」
と言うと母はサッと涙ぐんで、
「今日だけは家にいておくれ。お豊姉さんが大変悪いからね」
と言った。私は胸を衝かれて泣き顔になった。
豊姉は心臓瓣膜閉鎖不全でよく目まいがし、ヒステリーもあった。意識不明の状態に陥って、痙攣が来、癪のような発作があった。
カン水と言って頭のまん中に冷水を注いで冷やしたりしていた。
豊姉は夢中の状態で囈言を言った。まわりには皆がとり巻いていた。
「山丈のおかみが咽喉をしめる」
と口走った。まわりのものが面を見まわして動揺した。山丈という茶屋の芸者に義兄が熱くなったのを嫉妬したのだ。幼な心に私はショックを受けた。
豊姉の写真函を探すと時々芸者の写真が出た。眼が針で突き貫かれたりしていた。
私の家の裏の畑の傍にお茶屋があって芸者が出入りしていた。