Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
とうせいかつしゃ
党生活者
小林 多喜二
Lisez 党生活者 (とうせいかつしゃ) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 65 537 caractères · 130 écrans
私はまず何よりこの地域を離れる必要があるので、電車路に出ると、四囲を注意してから円タクを拾った。別に当ての無い処だったが、
「S町まで二十銭。」
と云った。
その時フト気付いたのだが、私は工場からの帰りそのまゝだったので、およそ円タクには不調和な服装をしていた。――私は円タクの中で考えてみた。が、矢張り見当がつかない。私は焦り、イラ/\した。ただ、私には今迄一二度逃げ場所の交渉をして貰った女がいた。その女は私が頼むと必ずそれをやってくれた。女はある商店の三階に間借りして、小さい商会に勤めていた。左翼の運動に好意は持っていたが別に自分では積極的にやっているわけではなかった。女の住所は知っていたが、女一人のところへ訪ねて行くのも変であったので、私は今迄用事の時は商会に電話をかけて、それで済ましていた。が私には今その女しか残されていない、そんなことを考慮してはいられなかった。――私はS町で円タクを捨てると、覚悟を決め、市電に乗った。
成るべく隅の方へ腰を下して、膝の上に両手を置いた。それから気付かれないように電車の中を一通り見渡してみた。幸いにも「変な奴」