Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lisez 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 160 664 caractères · 323 écrans

Aozora Bunko

とたんに湖上から鐘の音が窓を通して聞こえて来た。赤い灯火のついている軍船で鳴らす鐘に相違ない。

ボーンと、一つ鮮明りと最初の鐘が鳴らされた。続いて二つ目の鐘の音が殷々として響いて来た。

「二点鐘!」と柵は聞き耳をたてながら呟いた。しかし間もなく三つ目の鐘が鮮かに尾を曳いて鳴り渡った。そしてそのまま絶えたのである。三点鐘が鳴ったのだ。恋しい夏彦は帰らずに、名ばかり許婚の宗介が果たし合いに勝って帰って来たのだ。

柵の顔は蒼白となり眼ばかりギラギラと輝いたが、その眼で夏彦の画像を見詰め物狂わしくこう叫んだ。

「夏彦様夏彦様! あなたは永久にこのお城へはお帰りなさらないのでござりますね。十四年の間、恋と嘆きに明かし暮らした妾の胸へ二度とお帰りなさらないのだ」

彼女はにわかに冷ややかな眼で宗介の画像に見入ったが、

「あなたがこのお城へ帰ったとて何が待っておりましょうぞ。お祈祷をする尼様と、あなたにとっては敵の子と、そして冷たい許婚の屍ばかり……あなたの希望はこれこのように消えてしまったのでござりますぞ」――云いながら龕の前へ行き点された灯火を吹き消した。

それから彼女はそろそろと歩いて姫の寝間の前まで来た。