Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いちょう

公孫樹

豊島 与志雄

Lisez 公孫樹 (いちょう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 764 caractères · 20 écrans

Aozora Bunko

そのためだかどうだか分らないが、足の胼胝の皮は必ずまとめて、庭の隅の大事な公孫樹の根本に埋めることになっていた。

公孫樹は隣家の軒に近いため、半日しか日が当らなかったが、非常な勢で伸び上って、毎年枝を切り落さなければならなかった。勿論、父が足の皮を公孫樹の根本に埋める癖は、いつ頃から初ったのか僕は覚えていない。然し父が公孫樹の根本に立って、すくすくとした幹を見上げながら、快心の笑みを洩してる姿は、今でもはっきり眼の中に残っている。

「俺の足の皮の養物を吸って、この伸び上った勢を見てごらん。」

そう云って父はよく高らかに笑った。

けれど実際、足の皮ってそれはいくらの量でもなかった。五十銭銀貨大の胼胝を薄く切り取ったものだから、円めても小指の先ほどしかなかった。月に一二回として一年分まとめても、ごく僅かな量にすぎなかった。

「あんな少しばかりのもので……。」と云って母は嗤った。

然し父は、人体の肥料価を主張して止まなかった。そして他に何の肥料もやらなかった。

「だけど、あなた、」と母は別な方面から父を揶揄した、「そんなに公孫樹を大きくしてどうなさるの。銀杏がなるまでにはなかなかでしょうし、それに、もし引越しでもするようになったら……。