Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

とううん

凍雲

矢田 津世子

Lisez 凍雲 (とううん) de 矢田 津世子 (やだつせこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 121 caractères · 29 écrans

Aozora Bunko

仙太は、屋根に上って雪を投げ落していた。

「危ねえぞ」

子供らは蜜柑箱に雪を入れて溝に運んだ。堰き止められた水が、やがて満ちて、どうと雪を圧し流すと、一度に歓声を上げた。

仙太は耳をすました。嬰児の泣き声が下の間から微かに聞えていた。

「泣かせるな!」

と、上から怒鳴った。母親のぶつぶつ言う声がきこえた。赤子が届けられて以来、仙太が極端に無口に、また、ひどく怒りっぽくなったのを母親は知っていた。そして、自分も一半の責任を感じて、出来るだけ逆らわないようにしていた。

よく泣く児であった。殊に夜になると絶え間なしに泣き続けるのであった。

その夜は寒かった。冬の閉じる頃よく襲うてくるあのきびしい凍てつきだった。

仙太は、ふと、赤子の泣き声で眼をさました。そして、母親の溜息を聞いた。

「苦労かける子供だなあ。なして、また生まれてきたやら」

仙太は、かっとなって跳び起きて、あっけにとられている母親から赤子をひったくった。急に泣き叫ぶ赤子を抱えて、外にとび出した。父親が戸口まで追いかけて来た。

「仙! 気でも狂ったか」

外は氷りつき、足駄がカラカラと鳴った。

黒はふうふう、白い息を吐きながら主人の前を駈けて行った。