Classiques japonais avec furigana
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はつこい
初恋
矢崎 嵯峨の舎
Lisez 初恋 (はつこい) de 矢崎 嵯峨の舎 (やざきさがのや) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 226 caractères · 39 écrans
自分が見つけたのを横取りするのはひどい、返して下さい、と争ッて見たが、娘は情強く笑ッていて、返しそうな様子もないから、自分は口惜しくなり、やッきとなり、目を皿のようにして、たくさんあるところを、と、見廻わした、運よくまた見つけた、向うの叢蔭に、が運わるく娘も見つけた。や負けた、娘が先へ走り寄ッた。唐突に娘があれエと叫んだ、自分は思わずびッくりした,見れば、もウ自分の傍にいた、真青になッて、胸を波立たせて、向うの叢を一心に見て。自分は娘の見ているところ、その叢を見ると、草がざわざわと波立ッて、大きな青大将がのそのそと這ッて往ッた,しばらくして娘はほッと溜息を吐いて、ああ怖かッた、とにッこりしてそしてあたりを見廻わして、またおやと言ッた。先の驚きがまだ貌から消えぬうちに、新しい驚きがその心を騒がしたので、以心伝心娘の驚きがすぐ自分の胸にも移ッた。見ればあたりに誰もいない。母を呼びまた姉を呼んで見たが、答うる者は木精の響き、梢の鳥、ただ寂然として音もしない。
「どこへ皆さんは往きましたろう」心配そうな声で、「ついうッかりしていて」
「そうですねエ……」
「立ッていても仕方がありませんから、まア向うの方を尋ねて見ましょう」