Classiques japonais avec furigana
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わかれのじ
別れの辞
豊島 与志雄
Lisez 別れの辞 (わかれのじ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 330 caractères · 37 écrans
「僕は逢いたい人があるんだ。それとも、ないと思うか。」
「あるならあると、はっきり云えよ。逢わしてやろう。僕が引受けた。」
「君が、……へえー、お門違いだ。僕が逢いたいなあ……逢わしてくれる人はここにはいないや。」
彼は一座を見廻して、それから私の肩へよりかかってきた。
「僕は……静葉……そうだ、静葉さんに逢って見たい。」
一寸異様な沈黙がおちてきた。ただ、長尾が一人微笑していた。
「静葉に逢いたい……なら、逢おうじゃないか。ここに呼ぼうよ。島村がいなくたって、来るさ。」
「だめよ、およしなさい。」
清子が、なぜか、むきになってとめた。
「あたし、そんなの嫌いよ。」
「おい宮崎、清ちゃんが、そんなの嫌いだってさ。」と大西が云った。「そんなのが嫌いだってさ。何とか云えよ。」
私は、肩によりかかって顔を伏せてる宮崎が、泣きだすか叫びだすかしやしないかと、少々もてあましていたが、宮崎はすぐ身を起して、酒を飲み出したので、助った気がした。だが、一座の空気が、どことなく乱れていた。一体、島村は本当に静葉を好きなのか、静葉は本当に島村を好きなのか、そんなことから、話は男女問題に亘っていった。