Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
じゅうしまつ
十姉妹
山本 勝治
Lisez 十姉妹 (じゅうしまつ) de 山本 勝治 (やまもとかつじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 110 caractères · 20 écrans
父の秘密な外出――この間に遊びという感じは毛頭なかった。それだけにまた異様な恐怖を、大袈裟に言わば密封された恐ろしい贈物を前に置く様な恐怖を、抱かずにはいられなかった。
ある晩、とうとう母は、祖父には内密に自分の想像を、そっと慎作に打明けた。
「ひょっとすると……あの人、田村へ行ってるのかも知れへんぜ」
「田村へ!……まさか……」と打消したものの、慎作は変に吐胸をつかれた。予想外の事ではあったが、言われてみると、この際、案外近々しい想像なのに驚かされた。田村の賭場へ父が……と想っただけで、「勝負!」と骰子壷の伏せられた瞬間、試みにピアノの鍵盤を叩いてみたら、その音波が散り拡がろうとはせずに何時までも響いていそうな、極度にはり切った空気、押し潰した囁やきと、袖口と胸元から隠見する入墨、その片隅で、例のお人好らしいにじみ笑を浮かべて、しかし両手は中風の様に震わせているであろう土に汚れた父……が見える様だった。ふと画がき出した幻影の様なこの想像に、見る間に、額にはまった絵の様な確実味が帯びた。だが慎作は何気なく言った。
「母さんに、思い当たる節でもあるの」