Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちはやかんのめいろ

千早館の迷路

海野 十三

Lisez 千早館の迷路 (ちはやかんのめいろ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 829 caractères · 50 écrans

Aozora Bunko

「出来るだけ近くまで行ってみましょう」

帆村が、やっとそれだけをいって、春部をふりかえった。春部は肯いた。帆村は彼女の方へ自分の腕を提供した。二人は愛人同士のようにして、林の間を縫う坂道を下って行った。

「あんな気味のわるい建築物は始めて見ましたわ。悪趣味ですわねえ」

春部の声は、すこし慄えを帯びていた。

「日本人の感覚を超越していますね」

「しかし人間の作ったものとしては、稀に見る力の籠り工合だ。超人の作った傑作――いや、それとも違う……魔人の習作だ。いや人間と悪魔の合作になる曲面体――それも獣欲曲面体……」

「えっ、何の曲面体?」

このとき帆村は、はっと吾れにかえり、

「はっはっはっ。いや、ちょっと今、気が変になっていたようですよ、突然あんなものを見たからでしょう」

帆村のさしあげた洋杖の先に、雑木林の上に延び上っているような千早館のストレート葺きの屋根があった。

「あれは古神子爵がひとりで設計なすったんですの」

「さあ、全部はどうですかね。しかし古神君は非常な天才であり、そして実に多方面に亙る知識を持っており、時間さえ構わなければ、彼ひとりの力でもって設計をやり遂げることも出来たと思います」