Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はんしちとりものちょう
半七捕物帳
岡本 綺堂
Lisez 半七捕物帳 (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 208 caractères · 30 écrans
顔は確かにみえないが、その格好がどうもかのお時らしいので、半七はすぐにその後を尾けてゆくと、女はこの間の蕎麦屋へはいった。
こっちの顔を識っている筈はないと多寡をくくって、半七も少しあとからその暖簾をくぐると、狭い店にはお時のほかにもう一人の男が来ていた。唐桟の半纒を着て平ぐけを締めたその男の風俗が、堅気の人間でないことは半七にもすぐに覚られた。男は二十五六で、色のあさ黒い立派な江戸っ子であった。彼はここでお時を待ち合わせていたらしく、女と向い合って酒を飲んでいた。半七は隅の方に坐って、好い加減な誂え物をした。
男も女も時々こっちを後目に視ていたが、格別に気を置いてもいないらしく、火鉢に仲よく手をかざしながら、小声でしきりに話していた。
「もうこうなっちゃあ、仕方がないやね」と、女は云った。
「おれが出なけりゃあ幕が閉まらねえかな」と、男は云った。
「ぐずぐずしていて……。心中でもされた日にゃあ玉無しだあね」と、女は小声でおどすように云った。
それから先きは聴き取れなかったが、心中という一句を聞いて、半七は胸をおどらせた。おそらく誰袖という女が心中するのであろうと思われた。