Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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なんぼくのとうかいどうよつやかいだん

南北の東海道四谷怪談

田中 貢太郎

Lisez 南北の東海道四谷怪談 (なんぼくのとうかいどうよつやかいだん) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 555 caractères · 34 écrans

Aozora Bunko

今のうちに、わたしの云うことを聞く方が、おまえさまのためでござります」

「いくら所天がどうあろうとも、私は私、けがらわしい。女でこそあれ武士の娘、不義を云いかけるとはもってのほか」

お岩はいきなり小平のさしていた刀を執って脱いた。宅悦はうろたえた。

「あ、あぶない」

宅悦はお岩に飛びかかって、其の刀をもぎ取ろうとした。お岩はそれを取られまいとして争っているうちに、どうした機か刀が飛んで欄間の下へ突きささった。お岩はよろよろとなった。

「は、はなして」

お岩は刀の方へ駈け寄ろうとした。宅悦はあわてた。

「ま、まあ、静にしてくだされ、今云ったのは、皆嘘でござります。いくら私が好奇でも、其のお顔では」

「え、私の顔がどうかなって」

「可哀そうに、何も知らずに服んだ彼の薬は、血の道の妙薬どころか、まあ、これを見なさるがよい」

宅悦は櫛畳から鏡を出した。お岩は急いで鏡に手をかけて己の顔を映したが、己の顔とは思われないので後を見た。

「何人ぞ後に」後には何人もいなかった。「こりゃ、わしかいの、ほんまにわしの顔かいの」

お岩は身をふるわせて泣きだした。宅悦は真箇のことを云わなくてはならなかった。