Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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なんぼくのとうかいどうよつやかいだん

南北の東海道四谷怪談

田中 貢太郎

Lisez 南北の東海道四谷怪談 (なんぼくのとうかいどうよつやかいだん) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 555 caractères · 34 écrans

Aozora Bunko

「これは、どうも」

小提燈の女は丁寧に頭をさげた。辻君姿の女は其の顔に眼をつけた。

「あ、おまえは妹」

小提燈の女も対手に眼をつけていた。

「あなたは姉さん」

辻君姿の女はお岩で、小提燈の女はお袖であった。お岩は物乞に往っている父親の左門を、お袖は途中で別れた与茂七の後を追うて来たところであった。お袖はお岩のあさましい姿をはっきり見た。

「あなたは、まあ、あさましい、辻君などに」

お岩はお袖の顔をきっと見た。

「おまえこそ、与茂七さんと云うれっきとした所天がありながら、聞けば此の比、味な勤めとやらを」

「え、それは」

「これと云うのも貧がさすわざ、父さんが二人に隠して、観音さまの地内で袖乞をしておられるから、わたしも辻君になってはおるものの、肌身までは汚しておらぬ」

「それはわたしも同じこと、恥かしい勤めはしても、肌身までは汚しませぬ。それにこんなことをしていたばかりに、今晩与茂七さんに逢うて、同伴に来る道で、与茂七さんにはぐれたから、それを探しに」

「わたしも父さんがあまり遅いから、それが気がかりで」

其の時お岩は地べたで何か見つけた。

「おまえの傍に、それ血が」