Classiques japonais avec furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Lisez 南地心中 (なんちしんじゅう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 205 caractères · 79 écrans
一度、前幕のはじめに行って、手を洗った時、そう思った。
小さな銀貨を一個握らせると、両手で、頭の上へ押頂いて、(沢山に難有、難有、難有、)と懐中へ頤を突込んで礼をするのが、何となく、ものの可哀が身に染みた。
その爺さんがね、見ると……その時、角兵衛という風で、頭を動かす……坐睡りか、と思うと悶いたんだ。仰向けに反って、両手の握拳で、肩を敲こうとするが、ひッつるばかりで手が動かぬ。
うん、と云う。
や、老人の早打肩。危いと思った時、幕あきの鳴ものが、チャンと入って、下座の三味線が、ト手首を口へ取って、湿をくれたのが、ちらりと見える。
どこか、もの蔭から、はらはらと走って出たのはその娘で。
突然、爺様の背中へ掴まると、手水鉢の傍に、南天の実の撓々と、霜に伏さった冷い緋鹿子、真白な小腕で、どんつくの肩をたたくじゃないか。
青苔の緑青がぶくぶく禿げた、湿った貼の香のぷんとする、山の書割の立て掛けてある暗い処へ凭懸って、ああ、さすがにここも都だ、としきりに可懐く熟と視た。
そこへ、手水鉢へ来て、手を洗ったのが、若い手代――君が云う、その美少年の猿廻。」
十二