Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なんろ

南路

宮本 百合子

Lisez 南路 (なんろ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 813 caractères · 63 écrans

Aozora Bunko

然し、自分には、何より旅舎の部屋が懐しかった。どんなところだろう。先ず一やすみと椅子に腰を投げかけた心持が、何ともいえない快よさで想像に浮ぶ。旅舎独特のこぢんまりした手綺麗さ。――

心を他にとられて、短い言葉で応待する自分の眼には、日曜の朝とは思われず雑踏した街上の有様が映った。

非常に花屋が多く、可愛らしいカリフォルニア・ローミや菫や名も知れない花々を、美しく籠や壺に盛って、歩道一杯に飾ってある。砂漠を昨日通った瞳には、実に鮮やかな香りたかい感銘を与えた。

突然、大きく街角を曲って、自動車がとある建物の前に止ると、自分は、訝っと外を覗いた。

ここが旅舎なのだろうか。

自分で運転していたX氏が先ず降りる。良人も降りる。私もX夫人と前後して、その硝子扉の前に立ったけれども、心は失望せずにはいられなかった。建物の外見や広間(ホール)の調子は、まるで自分の想像していたのとは異っている。

昇降機のところで職人が四五人、乱暴な調子で喋りながら仕事をしてい、床には敷物もなければ、飾り植木の鉢もない。皮張椅子に、詰らなそうな顔をした男が二三人、煙草の隙から我々を見守っているのだ。