Classiques japonais avec furigana
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とりかじ
取舵
泉 鏡花
Lisez 取舵 (とりかじ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 453 caractères · 15 écrans
はい誠に不自由な老夫でございます。」
渠は路頭の乞食の如く、腰を屈め、頭を下げて、憐を乞えり。されどもなお応ずる者はあらざりしなり。盲人はいよいよ途方に暮れて、
「もし、どうぞ御願でございます。はいどうぞ。」
おずおずその袂を曳きて、惻隠の情を動かさむとせり。打俯したりし婦人は蒼白き顔をわずかに擡げて、
「ええ、もう知りませんよう!」
酷くも袂を振払いて、再び自家の苦悩に悶えつ。盲人はこの一喝に挫がれて、頸を竦め、肩を窄めて、
「はい、はい、はい。」
中
甲板より帰来れる一個の学生は、室に入るよりその溽熱に辟易して、
「こりゃ劇い!」と眉を顰めて四辺をせり。
狼藉に遭えりし死骸の棄てられたらむように、婦女等は算を乱して手荷物の間に横われり。
「やあ、やあ! 惨憺たるものだ。」
渠はこの惨憺さと溽熱さとに面を皺めつつ、手荷物の鞄の中より何やらん取出して、忙々立去らむとしたりしが、たちまち左右を顧て、
「皆様、これじゃ耐らん。ちと甲板へお出でなさい。涼しくッてどんなに心地が快か知れん。」
これ空谷の跫音なり。盲人は急遽声する方に這寄りぬ。
「もし旦那様、何ともはや誠に申兼ねましてございますが、はい、小用場へはどちらへ参りますでございますか、どうぞ、はい。