Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふるきミニエチュア

古き小画

宮本 百合子

Lisez 古き小画 (ふるきミニエチュア) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 70 298 caractères · 140 écrans

Aozora Bunko

このままではいられない、何とかしよう。どうしたらよいか、という執着の強い、絶え間ない囁きが、彼をつけ廻し出した。彼の不安に拘わらず、夜は眠れないほどの苦しさにかかわらず、唯一の考えは、彼の全精力を集中させようとする。スーラーブの心も、体も、魔もののような「どうしたらよいか」という渦の囲りに、離れようとしても離れられない不可抗の力で吸よせられた。彼は、日常の出来事に、溌溂とした注意を分離し、滞りなくそれらを処理する愉快さなどは、まるで失った。事務は皆、シャラフシャーに任せきってしまった。そして、愈々(いよいよ)寡黙に、愈々人ぎらいになった。宛然(さながら)、傷ついた獣が洞にかくれて傷を舐め癒すように、彼は、自分の心とさし向いになり、何かの道を見出そうとする。

僅か十六七日の間に、スーラーブの相貌はひどく変った。突つめた老けた、心を労す表情が口元から去らなくなった。憂鬱に近い挙止の間々に時とすると、燻(くす)ぶる焔のように激しい閃きがちらつくことがある。

宝石売が去ったのは、丁度四月の下旬であった。ツランの天候の一番定まりない時である。朝のうち薔薇色に照って、石畳や柱の縁を清げに耀かす日光は、午すぎると、俄にさっとかげって来る。