Classiques japonais avec furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
Lisez 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) de 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 105 caractères · 337 écrans
かわりに、お駒がぽつねんとただひとり、奥の茶の間のまんなかにすわっているきりでした。おどろきも、悲しみも、うろたえも、ろうばいも、なんの感情もない人のように、青ざめた顔をしょんぼりと伏せながら、ほのぐらい灯をあびて、黙々とすわっているのでした。
しかし、そのほそい青みすんだ手には、ほそい竹むちがあるのです。
やまがらを使うむちでした。
ゆらりと、畳の上に、ほそいむちの影が流れたかと思うと、あいていたかごの中から、ぴょんぴょんと、すき毛の美しい小鳥の影が飛び出しました。
「駒!」
「…………」
「お駒といっているんだ。聞こえねえのか!」
しかし、お駒は、血も熱もしぼりとられた、耳のない人のようでした。ふり向きもしないのです。返事もしないのです。名人の鋭い声もそしらぬ顔に、黙然とすわったまま、青い手の中のほそいむちを、ゆらりゆらりと動かしました。
右へ動けば右へ飛び、左へ動けば左へ飛んで、こわいほどにも人慣れのしたやまがらが、手のむちの動くたびにその影を追いながら、ぴょんぴょんとおどり歩きました。とみるまに、むちが大きくゆれたかと思うと、やまがらもまたピョンと大きく舞いながら、お駒の肩へ飛び移りました。