Classiques japonais avec furigana
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どうきょにんかふう
同居人荷風
小西 茂也
Lisez 同居人荷風 (どうきょにんかふう) de 小西 茂也 (こにししげや) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 026 caractères · 17 écrans
先生一日汗だくにして、死ぬ前は暑くて堪らなくなるものだといえり。先生の徴兵検査の折りの話を聞く。一年志願兵たらんとしたが止めて、普通の兵隊なみに受けたため助かりしと申さる。
八月九日。先生終日在宅。「週刊朝日」に「近頃の荷風先生」という記事ありと告げたるところ、言下に佐藤春夫氏の書きしものなるべしと言えり。先生、潤一郎氏の「細雪」上巻を繙読中なり。
八月十日。先生いたって不用心にして雨戸を開けし儘就寝に及び、井戸端に庖丁を置去りにすること屡々なり。注意すれば却って行う先生の気性ゆえ、黙って始末しおりたるところ、本払暁ついに先生の出しっ放しの庖丁を持ち、先生の開けおかれし雨戸より泥棒が侵入、先生の隣室の箪笥より余の衣類数点窃取せられたるも、先生の部屋には被害なし。先生大いに喜び安堵の態なり。かねて先生曰く隣家のラジオ午前六時に始まるのが気になり、ために夜もおちおち眠りしことなし。されば終夜不寝番を一人かかえおるも同然ゆえ泥棒は絶対に大丈夫なりと。されど今暁は熟睡に陥りおりたるものの如し。探査のため来りし刑事に対し、O家に於ける本泥棒の吟味を急ぐよう、先生督促せらる。