Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lisez 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 286 caractères · 301 écrans
風は次第に勢いを強め、帆の鳴る音も凄くなった。
風雨を貫く謡の声
「オーイ甚内!」と呼ぶ声がした。「しけが来るぞヨー、帆を下ろせヨー」
「オーイ」と甚内はすぐ応じた。それから銀之丞へ会釈したが、「しけが来るようでございます。ちょっとご免を被ります」
いい捨てクルリと身を翻えすと、兄の死を痛み悲しんでいた、もう今までの甚内ではない。熟練をした勇敢な、風浪と戦うかこであった。
帆綱を握るとグイと引いた。ギーギーという音がして、左右に帆柱が揺いたかと思うと、張り切った帆が弛んで来た。
「ヨイショヨイショ、ヨイショヨイショ!」
掛け声と共に手繰り下ろした。
星が消えたと見る間もなく、ザーッと雨が落として来た。篠突くような暴雨であった。雨脚が乱れて濛気となり、その濛気が船を包み、一寸先も見えなくなった。轟々という凄じい音は、巻立ち狂う波の音で、キキー、キキーと物悲しい、咽ぶような物の音は、船の軋む音であった。空を仰げば黒雲湧き立ち、電光さえも加わった。凄じい暴風雨となったのであった。
「ヨイショヨイショ! ヨイショヨイショ!」
その荒涼たる光景の中から、十数人のかこの声ばかりが、雄々しく勇ましく響いて来た。