Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

Lisez 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 286 caractères · 301 écrans

Aozora Bunko

「あッ、あッ、あッ」と千切れるような、唖特有の叫び声を上げ、指で部屋の方を差したのは、夕飯を食えという意味であろう。

「よしよし飯が出来たそうな、どれご馳走になろうかな」つぶやきながら足を洗い、馬へ秣を飼ってから、家の中へはいったが、部屋とは名ばかりで板敷きの上に、簀子が一枚敷いてあるばかり、煤けて暗い行燈の側に、剥げた箱膳が置いてあった。あぐらを掻くと箸を取ったが、給仕をしようと坐っている、妹を見ると寂しく笑い、

「お前もこれからは寂しくなろうよ。兄やが一人いなくなったからな。それにしても甚内は馬鹿な奴だ。何故海へなぞ行ったのかしら。こんなよい土地を棒に振ってよ。ほんとに馬鹿な野郎じゃねえか。土地が好かない馬子が厭だ、この追分に馬子がなかったら、国主大名も行き立つめえ。馬方商売いい商売、そいつを嫌って行くなんて、ほんとに馬鹿な野郎だなあ。……だがもうそれも今は愚痴だ。望んで海へ行ったからには、立派に出世してもれえてえものだ、なあお霜そうじゃねえか。……おや太鼓の音がするな。四つ竹の音も聞こえて来る。ああ町は賑やかだなあ。あれはどうやら三丁目らしい。