Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

Lisez 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 286 caractères · 301 écrans

Aozora Bunko

「アッハハハハ、これは秀逸だ。実際お前は不思議な女だ。見さえすればおかしくなる。ところでしまいのもう一人は?」「他ならぬあなた様でございます」「へえどうしておれが不思議だ?」「絹商人と振れ込みながら、毎日毎日商売もせず、贅沢に暮らしておいでゆえ」

「ふん、何んだ、そんな事か」吐き出すようにいったものの、千三屋はいやな顔をした。

「で、何かい七不思議は、今宿場で評判なのかい?」

「さあどうでございますか」いいいい膳を片付けたが、「そんな事もございますまいよ。と、いいますのはその七不思議は、このお杉がたった今、即席に拵えたのでございますもの。はいさようなら、お粗相様」

いい捨て廊下へすべり出た。後を見送った千三屋は、「馬鹿!」と思わず怒鳴ったが、周章ててその口を抑えたものである。

「油断も隙もならねえ奴だ。まさかこのおれを怪しい奴と、感付いたのじゃあるめえな。……こいつ仕事を急がずばなるめえ」

腕を組み天井を見上げ、じっと何か考え出したが、その眼の中には商人らしくない、不敵な光が充ちていた。と、パラリと腕を解くと、その手でトントンと襖を叩き、

「平手様、平手様、ご都合よくば一面いかがで? おうかがい致してもよござんすかえ?」