Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lisez 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 286 caractères · 301 écrans
千三屋は無意味に笑ったが、その眼をキラリと床の間へ向けた。そこに小鼓が置いてあった。それへ視線が喰い入った。
北国街道と中仙道、その分岐点を桝形といった。高さ六尺の石垣が、道の左右から突き出ていて、それに囲われた内側が、桝形をなしているからであった。これは一種の防禦堤なので、また簡単な関所でもあった。ここを抜けて左へ行けば、中仙道へ行くことが出来、ここを通って右へ行けば、北国街道へ出ることが出来た。でこの桝形へ兵を置けば、両街道から押し寄せて来る、敵の軍勢をささえることが出来た。大名などが参府の途次、追分宿へとまるような時には、必ずここへ夜警をおいて非常をいましめたものであった。しかし桝形はそういうことによって、決して有名ではないのであった。つるが屋、伊勢屋、上州屋、武蔵屋、若菜屋というような、幾つかの茶屋があることによって、この桝形は名高かった。いつづけの客や情夫などを、宿の遊女達はこの茶屋まで、きっと送って来たものであった。つまり桝形は追分における、唯一の後朝の場所なので、「信州追分桝形の茶屋でホロリと泣いたが忘らりょか」と、今に残っている追分節によっても、そういう情調は伺われよう。