Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
めいしょうまんげつ
名娼満月
夢野 久作
Lisez 名娼満月 (めいしょうまんげつ) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 840 caractères · 37 écrans
……わけても勿体ない御ことは金丸様。御身請の御恩は主様の御恩、親様の御恩にも憎して深いものと承わっておりながら、身をお任せ申しまする甲斐もない、うつそみの脱殻よりも忌まわしいこの病身、逆様の御介抱を受けまするなりにこの世を去りまする面目なさ。空恐ろしさ。来世は牛にも馬にも生れ変りまして、草を喰べ、水を飲みましても貴方様を背負いまする身の上になりまするようにと、神様、仏様に心中の御願はかけながらも、この世にては露ほども御恩返しの叶わぬ情なさ。女とはかようなものかと夕蝉の、草の葉末に取りついて、心も空に泣き暮らすばかり。
……神様、仏様の御恩は申すに及ばず、この世にてお世話様になりました方々や、不束なわたくしに仮初にも有難いお言葉を賜わりました方々様へは、これこの通り手を合わせまする。ただ何事もわたくしの、つたない前世の因果ゆえと思召して、おゆるしなされて下されませ……。
……と……云わるる声も絶え絶えに、水晶のような涙がタッタ二すじ、右と左へ、緞子の枕に伝わり落ちると思ううちに、あるかないかの息が絶えました。それはちょうど大空の澄み渡った満月が、御病室の屋の棟を超える時刻で御座いました。