Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

わせいつばきひめ

和製椿姫

大倉 燁子

Lisez 和製椿姫 (わせいつばきひめ) de 大倉 燁子 (おおくらてるこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 221 caractères · 19 écrans

Aozora Bunko

「ええ、二度ばかりお目にかかりましたわ。大層お美しい方ですのね」

春光は苦笑いして、「美耶子が、昨夜浚われてしまったんですよ」

「へえ、奥様が?」

「そうです、妻がです」

「浚われたということがどうしてお分かりになりますの」

「美耶子はあなた、重病で寝たっきりだったんですよ。独り歩きも出来ない大病人が消えて失くなったんですから、浚われたとしか考えられないじゃありませんか」

私は黙って彼の顔を見た。青い頬にいく分か興奮して血の気がのぼっているが、その眼は充血して昨夜来の苦悶をありありと現わしている。いつも奇麗にわけている頭髪も、話をする間に指でがりがり掻くので、もしゃもしゃになっていた。

美耶子の前身が前身だけに、彼の煩悶には複雑なものがあった。嫉妬の交った感情もあっただろうし、体面を重んじる彼としては、まるで顔に泥を塗られたような不愉快さもあったろう。世間へ知れては面目ない、何とかして誰にも感付かれないうちに連れ戻さなければならない、と、彼は焦っていた。

「もっと委しく話して頂けないでしょうか。奥様は御重体でいらしたとすると、どういう御病気だったんですの?」