Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おしのようじょ

唖の妖女

田中 貢太郎

Lisez 唖の妖女 (おしのようじょ) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 236 caractères · 3 écrans

Aozora Bunko

明治七年四月のこと、神奈川県多摩郡下仙川村浅尾兼五郎の家へ妖怪が出ると云う噂がたった。

それも一度や二度のことでなく、前年の五月から怪しい事が続くと云うので、県庁でも捨て置けずとあって、兼五郎の家へ人をやって取調さしたが、原因も判らず相変らず怪しい事が起った。そこで、県警察部でも兼五郎を召喚して、これ亦峻烈な取調をしたが、兼五郎の所為でないから、どうすることもできなかった。

某日のことであった。兼五郎の細君が台所で飯を焚いていると、突然釜がふわりふわりと天井の方へあがりはじめた。これには女房も蒼くなって、

「ああ、もしもし、そのお釜をお取りあげになることだけは、どうぞおゆるしくださいまし、どうぞお返しを願います。この通りでございます」

と云って、台所の羽目板へ額をつけて歎願した。すると釜はひょこひょことおりて来て、原の竈へかかった。

また某時、来客があったので、兼五郎は奥座敷へ通して対手になっていると、俄に膝の下がむずむずして来た。何だろうと思って手をやってみると、古草履が一つにょきりと出た。これはと驚いて起ちあがると、また一つ飛びだした。

又某時、庭の方でがらがらと云うような大きな音がしたので、見ると庭の片隅に立てかけてあった竹竿が二本、人の歩くように並んでのそりのそりと歩いていた。