Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
よっかのあやめ
四日のあやめ
山本 周五郎
Lisez 四日のあやめ (よっかのあやめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 200 caractères · 38 écrans
「私闘、――そうだ、そのことだった」
彼女の眼は強い光りを帯びた。顔色はまだ恢復しないが、もう硬ばってもいないし恐怖も去ったようである。
「良人をゆかせてはいけない」と千世は呟いた、「私闘は武士の道に外れたことだ、そういうところへ良人をゆかせるのは、武士の妻のたしなみではない、あたしには良人に道に外れたことをさせることはできない」
千世は立って玄関のほうへいった。そして岩間勇作に、「深松伴六の来たことは黙っているように」と云った。そう云いながら、千世は初めて自分がこの家の主婦になったような、気強さとおちつきを感じた。
――あたしは法度を犯すことから主人を護った。
そういう自覚が、彼女に力と自信を与えるようであった。千世の顔は明るくなった。
時計が六時を打つとまもなく、主税介が起きた。千世が洗面の支度をして待っていると、寝衣のまま出て来た良人の躯から、濃厚な躰臭の匂うのが感じられた。
「化粧が濃すぎる」と主税介が云った、「もう少し薄く直すほうがいい」
千世は「はい」といって、房楊枝と塩の皿とを良人に渡した。そのときまた良人の躯がつよく匂い、千世は赤くなった。