Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちずにないまち

地図にない街

橋本 五郎

Lisez 地図にない街 (ちずにないまち) de 橋本 五郎 (はしもとごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 139 caractères · 32 écrans

Aozora Bunko

そのままシネマG館の角を曲がって、しばらく老人は姿を消した。

湯銭をこしらえて来るとはどういう意味なのであろう、まさか、盗んで来るというのではあるまいが――? 氏はいよいよ老人の正体を考えあぐんで、変な自分のこの半時間たらずの行動を、今更のようにふりかえってみるのだった。

「さあ待たした、行こう」

老人が引っ返したのは余程たってからだった。行こうというからには湯銭はできたに違いない。氏はそのことを訊ねてみようとためらいながら、ついそのままに老人にしたがって、町の名も知らぬ一軒の湯屋へ、遅いそののれんをくぐって入った。老人が五銭白銅一枚と、一銭銅貨五枚とを番台へ置くのが見えた。

着物を脱ぐ老人を、寺内氏はあらためて注視した。いや老人に集まる周囲の眼、番台の眼、そんなものを氏はさりげない風にうかがったのである。老人に対する周囲の眼が、どんな色に動くかさえ知れば、おおよそ老人の正体も知れるであろう。と考えたのだが駄目であった。都会は何から何までが個人主義だった。湯銭さえ受けとれば後は御勝手といわぬばかりに、番台の男はこくりこくりやっているし、もう数少なの客達も、皆めいめいの帰りを急いで、氏や老人に一顧さえ与える者はいなかった。