Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しおばな
塩花
豊島 与志雄
Lisez 塩花 (しおばな) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 421 caractères · 25 écrans
鼻毛と指先のささくれ、これが何より禁物である。そういう身だしなみを、恋する者は当然に持たなければならない。なぜなら、恋は精神の美しさを要求し、その表現たる身体の清潔さを要求するからだ。当事者にとって、恋はすべて美しく清く、恋人はすべて美しく清く、随って恋する者自身も、美しく清くあらねばならぬ。醜く穢れた者の恋愛などは、自家撞着の甚しいものだ。もっとも、敗戦と衣食住窮乏と栄養不足とのこの時代には、多少の……。
多少の……例外は、彼自身にもあった。殊に、身だしなみとは何の関係もない生れつきの方面のことは、どうにも仕方がなかった。彼の手の甲の静脈は、三十五歳の年齢にしては余りに太すぎて、酒を飲んだり昂奮したりする時には、盛り上った網の目を拵えた。それから、横額の皮膚に、ごく薄くではあるが、点々と汚点があって、余りにととのって何等の特長もない顔立だっただけに、よけいに目立った。それら二つのことについて、彼は、栄養による手の甲の肉附と、栄養による額の皮膚の色艶、つまりは栄養に、救済を求めていたのである。だが、それほどの栄養を摂取することは出来なかった。彼はさほど富裕ではなかったし、また倹約家でもあった。