Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

Lisez 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 46 485 caractères · 93 écrans

Aozora Bunko

巴里の山の手に、ペール・ラシェーズという広い墓地があって、そのうしろの小高い岡の上に、≪Belle-vuedeTombeau≫という、一風変った名の喫茶店がある。

訳すと、「墓地展望亭」ということにでもなろうか。なるほど、そこの土壇の椅子に坐ると、居ながらにして、眼の下に墓地の全景を見渡すことが出来る。

当時、私は物理学校の勤勉な一学生で、行末、役にも立たぬ小説書きになろうなどとは夢想だにしなかったので、未来の物理学者を夢みながら、実直に学業をはげんでいた。

私が、繁々とその喫茶店の土壇に坐るようになったのは、その店が学校の通路にあったという都合ばかりではなく、「墓地展望亭」というその名の好尚の中に、なんとなく、物佗びた日本的な風趣のあることを感じ、やるせない郷愁をなぐさめるよすがにこの店を撰んだわけである。

そういう目的のためには、「墓地展望亭」はまず申し分のない場所だった。この店の客は、いずれも黒ずんだ服を着けた、物静かなひとたちばかりで、いま、花束を置いてきたばかりの墓に、もう一度名残りを惜しむためにここへやってくるのである。

悲しげな眼ざしを、絶えずそのほうへそよがせながら、しめやかに語り合う老人夫婦。